広島市特定社労士、労働紛争解決センター byふちがみ労務管理センター
派遣元と派遣先にはさまれた派遣社員の立場は、ちょっと複雑です。
労働契約を結ぶのは派遣元、仕事の指示を受けるのは派遣先です。
このしくみをしっかり理解して、職場のトラブル防止に役立てましょう。
職場のトラブル事例
派 遣 社 員 編
<個人情報の保護>
事例 Aさんは、派遣会社B社に登録するためにB社担当者と面接したが、その際、家族の職
業、配偶者の有無、愛読書や購読している新聞や雑誌は何かを聞かれた。
AさんはB社に登録して欲しいため正直に回答したが、仕事と直接関係の無いことを聞か
れた気がして納得できない。
対策 派遣元会社は、次のような就職差別につながる恐れのある個人情報を収集してはいけま
せん。
①家族の職業、収入、本人の資産、容姿、スリーサイズ等
②人生観、生活信条、支持政党、購読誌、購読新聞、愛読書
③労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報
派遣元会社が収集できる労働者に関する情報は、業務の遂行上必要なものに限られ、
本人から直接聞くか、本人の同意を得て本人以外の者から聞くなど、適法かつ公正な
手段で情報収集することが、義務づけられています。
AさんはB社に対し、何の目的で仕事と関連のない情報を収集したのか、目的が明らか
でないならば、情報を削除するようにと要求すべきで、B社もこれに応じなければいけま
せん。
<派遣元からの中途解約>
事例 Pさんは、派遣元Q社から派遣先R社へ1年間の契約で派遣されていたが、R社は業績
不振のため事業を縮小する事となり、Pさんの派遣は6ヵ月で打ち切りとなってしまった。
Q社はPさんに対し、別の派遣先を紹介すると言っているが、R社への派遣が打ち切りと
なってから3ヶ月過ぎても新たな派遣先が決まらない。Pさんは途方に暮れている。
対策 Q社とR社の労働者派遣契約が中途解約となっても、PさんとQ社の雇用契約はそのまま
存続し、Q社はPさんに対し、次の派遣先を提供しなければなりません。
Pさんが働きたいのに働けないのは、Q社が次の派遣先を見つけられないからであり、
Q社はPさんに対し、雇用契約の残りの六ヶ月間について、賃金全額を支払う義務があり
ます。
但し、実際問題として、Q社が賃金全額の支払いに応じる可能性は低いかもしれません。
しかし、最低でもPさんはQ社に対し、平均賃金の6割の休業補償は請求できるでしょう。
<派遣社員の業務内容>
事例 SさんはT社に派遣登録していたところ、U社に半年間派遣されることになった。
T社の派遣担当者の話では、業務内容はパソコンへのデータ入力であった。
しかし、実際の仕事は、これ以外にも帳簿記帳、ファイリング等があり、しかも複数の人
から指示されるため、Sさんは大変困惑している。
対策 Sさんは、T社から渡されている就業条件明示書をすぐ確認すべきです。そして業務の
内容が「パソコンへのデータ入力」となっていればその他の仕事をする必要はありません。
もし、就業条件明示書がなければ、T社から至急取り寄せましょう。
また、指揮命令者を確認し、指揮命令者以外の社員は直接Sさんに仕事を指示せず、
必ず指揮命令者を通すよう、指揮命令者から他の社員に話してもらいましょう。
<残業代不払い>
事例 Vさんは、派遣元X社に登録していたところ、Y社への派遣が決まり、先月からY社に派遣
社員として勤務している。
Vさんは、X社から「Y社での残業はない。」と言われており、就業条件明示書にも時間外
労働なしと明記されているので、残業するつもりはなかった。
しかし、Y社での仕事の事務量は膨大で、いくら頑張っても、毎日2~3時間残業しないと
仕事が片付かず、Vさんは、やむなく毎日残業するはめになった。
そして、給料日にX社より給料明細が送付されてきたが、時間外労働欄は0円となってい
た。
不審に思ったVさんが、X社に電話したところ、「契約では、時間外労働はしないこととな
っています。Vさんが自分の意思で時間外労働したのだから残業代はないです。」と言わ
れた。
対策 Vさんは本当にお気の毒ですね。X社の言うとおり、Vさんが自分の意思で残業したとし
ても、Y社がその時間外労働を業務上必要なものであると判断して黙認した場合は、そ
の残業は正当な時間外労働となります。
Y社から命じられたVさんへの仕事の量が膨大で、とても時間内に終了させるのが無理
であるというVさんの判断が正しければ(つまり、誰が見ても時間内に仕事を終了させる
のは無理と判断されれば)、Vさんの残業は、正当な時間外労働となり、X社は、時間外
労働分の賃金を支払わねばなりません。
なお、Vさんは残業をしないという条件で労働契約を結んだのですから、Y社はVさんに
残業を命じることは出来ませんし、Vさんは命じられてもこれを拒否することが出来ます。
<派遣先からのセクハラ>
事例 Zさんは派遣元J社からL社に派遣されている女性社員であるが、L社の上司Nさんから
勤務中に度々身体を触られて困っている。J社の担当者に相談したが、「L社はわが社
の大切なお客様だからうまくやれ。」と全く相談に乗ってくれない。
Zさんはどうしていいか困っている。
対策 セクハラを防止する義務は、派遣元J社と派遣先L社の双方にあります。従って、Zさん
には、J社とL社に対して、Nさんのセクハラ行為を止めさせるように要求する権利があり
ます。
Zさんは、まず身体を触られたらはっきりと「やめて下さい。」と言って、拒絶の姿勢を明ら
かにすべきです。黙っているとNさんにZさんが嫌がっていることが伝わらず、Nさんから
「Zさんが嫌がっているとは思わなかった。」等と言われかねません。
また、ZさんはNさんからセクハラ行為を受けた日時、場所、内容等を細かく記録しておく
べきです。
その他、同僚にも積極的に協力して貰いましょう。争いになった時、セクハラ行為の記録、
同僚の証言等が重要な証拠となります。
セクハラは犯罪です。泣き寝入りなどせず、断固として戦うべきです。
<法改正情報>
平成16年3月より、労働者派遣法が改正になりますので、主な改正点をお知らせします。
1.派遣期間の上限が1年から3年に延長されました。そして、、1年を超えて3年までの期間
派遣労働者を受け入れようとする派遣先の事業者は、派遣先事業場の労働者の過半数
代表の意見を聴いてその期間を定めることとなりました(派遣先において、常用労働者の
代わりに派遣労働者を受け入れることを防ぐためです)。
2.専門26業務については、期間制限がなくなりました(今までは3年の期間制限あり)。
3.「物の製造業務」については、派遣が禁止されていましたが、派遣対象業務となりました。
但し、派遣期間は平成18年末までは1年が上限となります。
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