広島市特定社労士、労働紛争解決センター byふちがみ労務管理センター

パート社員だからとあきらめてはいけません。パート社員にも労働基準法は
           適用されます。正社員と同じように権利を主張できることも沢山あります。
           あなたの労働条件で、おかしいな、不合理だなと感じることはありませんか?
 
   

                  職場のトラブル事例    
                            パ ー ト 社 員 編      

        <労働条件>
          事例   Cさんは、D社と週4日勤務、1日6時間労働で6ヵ月間の労働契約を結んだ。労働条件
               は口頭で言われ、残業は繁忙期を除いてなし、休憩時間は1時間ということであった。
               しかし、実際に働いてみると殆ど毎日残業があり、休憩時間も交代で電話番を命じられ
               たり、来客のお茶出しを言いつけられたりで、1時間休憩出来ない日のほうが多い。
               CさんはD社にだまされた気がしている。

 
          対策   D社はCさんに対し、①労働契約の期間、②仕事をする場所や内容、③始業と終業の
               時刻、残業の有無や休憩時間等の労働条件を明らかにした書面を交付する義務が
               あります。これは労働基準法で定められています。
               CさんはD社に上記の書面交付を要求し、その内容を守るように主張すべきです。
               Cさんが黙っていると、今の労働条件を認めたとされてしまう可能性もあります。
               また、Cさんは、実際の労働条件が契約時の労働条件と違う事を理由にD社を辞める
               ことも出来ます。
     
        <契約更新>    
          事例  KさんはM社にパートとして3年間働いている。契約は半年ごとに更新されており、更新
               の都度、形式的に書類に印鑑を押すだけで、他に手続きはない。
               今年も更新の時期が近づき、Kさんは当然契約が更新されると思っていたが、M社の
               人事担当者から、今回は更新しないと告げられ驚いている。

 
         対策   期限のある契約は、期限が到来すれば当然に終了しますが、事例のように何回も更新
                され、その際の更新の手続が厳格に行われていない場合、期限の定めのない契約と
                みなされることもあります(つまり正社員と同一の扱いということです)。
               最終的には、Kさんの仕事の内容、採用時のM社採用担当者の契約期間についての
               説明、更新回数、他のパートの更新手続状況等によって判断されますが、KさんがM社
               での勤務継続を期待する合理的理由があると判断されれば、M社のKさんへの契約更
               新拒否が無効とされるでしょう。

               なお、平成16年1月より労働基準法が改正され、後述の法改正情報の3記載のとお
               り、期間の定めのある契約を締結する時は、使用者は、労働者に対し、その契約の
                更新の有無を明示しなければならず、更新する場合があると明示したときは、契約を
               更新するか否かの判断の基準を明示することが義務づけられました。
               従って、この義務を使用者が守れば、事例のようなトラブルは減少するでしょう。
               
パート社員としては、契約締結時に契約更新の有無を明示される権利があるのですか
               ら、その際にしっかりと確認しておくべきですね。

          

        <年次有給休暇>
          事例  RさんはS社に6ヵ月契約で勤務していたが、契約期間が満了となり、再び6ヵ月契約
               を交わし、S社で引き続き働いている。先日、Rさんは有給休暇を上司のTさんに申し
               出たところ、「6ヵ月勤務のパート社員には有給休暇はない。休むなら欠勤になるよ。」
               と言われた。
               Rさんは6ヵ月契約とはいえ、継続して7ヶ月勤めており、何か腑に落ちない。

          対策  パートタイム労働者にも年次有給休暇の制度は適用されます。従って、6ヵ月間継続
               勤務し、労働日の8割以上出勤すれば、年次有給休暇は発生します。
               Rさんは契約更新により継続して6ヵ月以上勤務しており、有給休暇を取得できます。
               ただし、週の所定労働時間が30時間未満の人は、取得できる日数が通常の労働者
               より少なくなっています(下表をご参照下さい)。

         

                                 【年次有給休暇の日数

週の所定
労働時間
週の所定
労働日数
年間の所定
労働日数
     勤      続       年       数
30時間以上 一 般 労 働 者6ヵ月1年
6ヵ月
2年
6ヵ月
3年
6ヵ月
4年
6ヵ月
5年
6ヵ月
6年
6ヵ月
10日11日12日14日16日18日20日
30時間未満5日以上 217日以上10日11日12日14日16日18日20日
4日169~216日7日8日9日10日12日13日15日
3日121~168日5日6日6日8日9日10日11日
2日73~120日3日4日4日5日6日6日7日
1日48~72日1日2日2日2日3日3日3日

      
                         ”労働基準法はこんな法律です”にもどる
      

        <雇用保険>     
          事例  Uさんは、1年6ヶ月前から、V社に毎週月曜日から木曜日まで1日6時間勤務している
               が、事務所が来月移転することとなった。Uさん宅からV社までの通勤時間は約30分
               だが、移転後のV社までの通勤時間は1時間以上かかってしまい、長女が通う幼稚園
               の閉園時刻に間に合わない。
               Uさんはもっと自宅に近い勤務先を探すため、V社を辞めてハローワークで失業手当を
               貰いながら新しい勤務先を探そうと思っている。Uさんは失業手当を貰えるだろうか。


          対策  Uさんは週24時間勤務していますので、週の所定労働時間が20時間以上30時間未
               満の短時間労働者に該当します。短時間労働者が失業手当(正しくは基本手当といい
               ます)を受給するためには、退職日の前日からさかのぼった2年間のうち、6ヵ月間の
               被保険者期間が必要となります。
               具体的には、退職日の前日からさかのぼって期間を1ヶ月ごとに区切り、この区切られ
               た1ヶ月に、賃金支払基礎日数(日給者の場合、原則として実際に労働した日数となり
               ます)が11日以上ある場合、その期間を2分の1ヶ月として計算します。
               Uさんは1年6ヶ月間、週4日勤務しており、被保険者期間は 2分の1ヶ月×18ヶ月=
               9ヶ月となり、6ヵ月以上の被保険者期間がありますから、受給資格はあります。


                           
         <健康保険・厚生年金>
          事例  Wさんは、X社に週5日勤務し、1日の労働時間は休憩時間を除き6時間である。
               今年の年収は、このまま働くと150万円程度になる見込みで、総務担当者のYさん
               から「Wさんは12月も今までどおり働くと、年収が130万円以上となり、ご主人の健
               康保険の被扶養者でなくなります。厚生年金についても同様です。」と言われた。
               Wさんはどうすれば良いかわからない。なお、Wさんの夫は、年収約600万円のサ
               ラリーマンである。


          対策  Wさんの年収が、130万円以上になると、Yさんの言うように健康保険と厚生年金
               保険のどちらもご主人の配偶者の被扶養者の対象外となります。つまり、Wさんは
               自分で国民健康保険と国民年金に加入し、保険料を支払わねばなりません。痛い
               出費ですね。
               しかし、あきらめてはいけません。X社の正社員の1日の労働時間が8時間だとする
               と、Wさんの労働時間は6時間ですから、ちょうど正社員の4分の3ですね。
               パート労働者でも、
1日または1週の勤務時間が、その事業所で同種の業務を行う
               一般の労働者の所定労働時間の概ね4分の3以上であれば、健康保険と厚生年金
               保険に加入
することが出来ます。
               
また、概ね(おおむね)ということなので、絶対に4分の3以上の労働時間でないと認
               められないわけではありません。
               Wさんとしては、あくまでも年収130万円未満に押さえてご主人の被扶養者扱いとな
               るか、このまま働いて、X社に健康保険と厚生年金保険の加入手続をしてもらうかの
               いずれかを選択すべきです。
               なお、Wさんが健康保険と厚生年金保険の被保険者となった場合、保険料は会社と
               Wさんが2分の1ずつ負担する事になりますが、X社は保険料を負担するのを避ける
               ため、Wさんの加入手続を拒絶することはできません。

                   
        
        <法改正情報>

              平成16年1月から労働基準法が改正されましたので、パート社員の皆さんに関係のある
            主な改正点をお知らせします。
              1.契約期間の上限の延長
                  ①期間の定めのある契約の期限は、原則1年でしたが、
原則3年に延長されました。
                   ②専門的な知識、技術等を有する者が、専門的知識等を必要とする業務に就く場合
                    及び満60歳以上の者が労働契約を締結する場合でその契約が期間の定めのある
                     契約の場合、上限の期間が3年から5年に延長されました。
        
              2.期間の定めのある契約をした労働者からの退職

                    期間の定めのある契約をした場合、本来は期間満了時まではやむを得ない理由が
                なければ契約を解除できません。
                  例えば、あなたが2年の労働契約を結んだ場合、原則2年間はその仕事をする義務
                が生じます。
                   しかし、今年から3年間(平成18年末迄)に限り、1年を超えて労働契約を締結した
                労働者は、
1年経過後はいつでも退職を申し出ることができることとされました。
                 (但し、一定の事業の完了に必要な期間を定めたケースを除きます。)
        
               3.期間の定めのある契約を結んだ時の使用者の明示義務
                   ①使用者は、労働者に対し契約を結ぶ時に
その契約が更新されるかどうかを明示
                     しなければなりません。

                   ②使用者が、①で更新する場合があるとしたときは、労働者に対して、契約を更新
                     する場合、またはしない場合の
判断の基準を明示しなければなりません。
                    基準の例としては、労働者の能力、勤務成績、勤務態度、会社の経営状況、契
                     約期間満了時の業務量等が挙げられます。
   
                4.雇止め(やといどめ)の予告
                  使用者は、契約を結んだ時に、その契約を更新する旨明示していた期間の定めの
                 ある契約(労働者が1年以上継続して雇用されている場合に限ります)を更新しない
                  場合は、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなけれ
                 ばなりません。
          
               5.雇止めの理由の明示
                  使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由についての証明書を請求し
                 た場合、遅滞なく証明書を交付しなければなりません。

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