広島市特定社労士、労働紛争解決センター byふちがみ労務管理センター

職場のトラブルの早期解決には、個別労働紛争解決ためのあっせん代理制度が
         お勧めです。自分で全部やれば費用はかかりません。書類を書いたり、主張を述
         べるのが心配な方は、社会保険労務士が代理人としてあなたをサポーします。



            個別労働紛争解決のための
          
                   
あっせん代理制度とは 

    
    

           出口の見えない不況下のもと、個々の労働者と事業主との間のトラブル(個別労働紛争)は、
          増加の一途をたどっています。欧米諸国の多くの国では、労働問題を専門に取り扱い、費用も
          時間もそれ程かからない「労働裁判所」がありますが、日本にはありません。裁判所に調停、
         訴訟を申し立てすると、費用も時間もかかり、また、何度も裁判所に足を運ばねばなりません。
           そこで、いま注目をあびているのが、
紛争調整委員会によるあっせん代理制度です。
           
それでは、事例をもとに紛争調停委員会によるあっせん代理制度をご紹介致します。

        <事 例>
            
甲さんは、従業員50名のB社に平成15年4月に正社員として採用された。勤務時間は8時
          間、賃金は月20万円、残業は月20時間以内という条件であったが、口頭で伝えられたのみ
          で、書面での労働条件の明示はなかった。
            甲さんは、配属された総務部で先輩Cさんの指導のもとで仕事をしたが、仕事が遅く、Cさん
          の言う事を素直に聞かない等協調性にも欠けるところがあり、Cさんも段々と甲さんの面倒を
          見なくなり、毎月40時間以上の残業をする事となってしまった。
            甲さんは、自分なりに頑張ってみたものの一向に残業が減少しないため、総務部長に対し、
           「採用時の話では、残業は月20時間以内ということだったのですが。」と質問したところ、
           「新人のくせに生意気だ。仕事が遅いから残業になるんだ。」と言われてしまった。
            やむなく、甲さんは、毎日残業をして何とか仕事をこなしたが、7月末に人事部長Dさんから、
           「入社して4ヵ月たっても仕事が遅く、能力不足である。また、先輩の指導に素直に従わず、
          人間関係もうまく築けない等、会社員として失格である。」との理由で、8月末で解雇する旨の
          通知を受けた。
                                             
                         
                                   ↓      
      
           甲さんは、B社の対応に嫌気がさし、8月末で退職したが、一生懸命に仕事をしたのに解雇
           になったことに釈然としない。そこで、友人である社会保険労務士乙さんに相談したところ、
            「解雇の理由に納得が行かないのは当然だよ。紛争調整委員会にあっせんの申請をし、B社
            に慰謝料請求したらどうか。お前は口下手だから僕が代理人になってあげるよ。」と言われた
            ので、乙さんにお願いすることにした。
         
                                       
   

             社会保険労務士乙さんは、甲から細かく事情を聞いたのち、あっせん申請書の作成に着手
           した。乙さんは、紛争当事者(甲さん、甲さんの代理人乙さん及びB社)の住所、氏名、紛争の
           経過等を記入後、あっせんを求める事項及びその理由として、次の様に記載した。
            「B社は甲さんの入社にあたり、書面で労働条件を明示する義務を果たしていないこと、甲さ
           んが入社4月間しか経過していないのに能力不足であると判断するのは無理があること、正当
           な理由もなく、適切な指導もせずにいきなり解雇するのは不当解雇にあたること等を理由に、
           経済的、精神的損害に対する補償金として金50万円の支払いを求める。」と記載したあっせん
           申請書を××県労働局総務部企画室へ提出した。
                        
                                   
    
           あっせん申請書の書類に不備がなく、あっせんを行うのが妥当と都道府県労働局長が判断
                      
                                   ↓
       
                  都道府県労働局長が紛争調整委員会へあっせんを委任
             (委員会は、大学教授、弁護士、社会保険労務士等で構成されています。)
                           
                                   ↓
               
                      あっせん期日(あっせんが行われる日)の決定
                      (甲さんとB社へ期日の通知が送られます。)
                           
                    
                             あっせん期日が到来
            あっせん期日が来ました。甲さんは乙さんと一緒に指定された××県労働局の×階××室     
          へ、指定時間10分前に到着しました。続いて、B社人事部長Dさんも到着。まもなく定刻と
          なり、あっせん委員3名が入室し、あっせんが開始されました。
                            
                  ↓

      
            あっせん委員から、双方に対して主張の確認があり、乙さんは甲の代理人として、また、
           DさんはB社の代理人として、それぞれ主張を述べました。
            あっせん委員は、Dさんに対し、「甲さん採用時に主な労働条件を書面で明示しないのは
           法律違反である。また、入社4ヶ月の甲さんを適切な指導もなしにいきなり解雇したのは、
           労務管理上問題がある。」と述べました。
            また、甲さんに対しても「中小企業においては、協調性がないことは本人の能力の如何に
           かかわらず、解雇理由の一つになり得るという判例もある。」と述べ、甲さんにも非があると
           しました。
            当初は、双方とも頑な態度を崩しませんでしたが、あっせん委員からそれぞれに問題点
           があることをことを指摘され、結局お互いに歩み寄り、B社が甲さんに対し、和解金として
           30万円支払うことで合意し、合意文書が取り交わされました。

                                               
     
     
       という訳で、個別労働紛争解決のための紛争調整委員会によるあっせん代理制度の概要
          をご理解戴けたでしょうか。事例では、甲さんはあっせん申請書の記載からあっせん委員の
          前での意見の主張まで、全て社会保険労務士の乙さんに代理人としてお願いしてますが、甲
          さんが代理人を立てずに全部自分でやってもかまいません。そうすれば費用はかかりません。

     
      また、意見を主張するのはいいが、書類を書くのが不安だという方は、書類作成のみ社会
          保険労務士に依頼することも可能です。また、その反対も出来ます。
           最後に、紛争調整委員会のあっせん代理制度の長所と短所を整理しましょう。

           長所 ①裁判に比べ、手続きが簡単、迅速であり、時間がかからない。
               ②自分でやれば費用はかからず、社会保険労務士に依頼しても裁判に比べ、かなり
                 安い費用しかかからない。
               ③あっせん手続きは非公開であり、紛争当事者のプライバシーは保護される。
     
           短所 ①相手方があっせんを拒んだ時は、あっせんそのものが成立しない。
               ②相手方が調停委員の調停案を拒むとあっせんは成立しない。
               ③募集、採用に関する案件は、取り扱わない。
     
            つまり、こちらがあっせん手続きをしようとしても、相手方が最初からこれに応じない時や
           あっせん委員の調停案に同意しない時は、あっせんによる解決は不可能となります。
            でもあきらめるのは早いです。どう考えても自分の方が正しい、証拠となる確実な資料も
           あるという方は訴訟を提起すべきです。相手方に請求する金額の元金が30万円以下なら
           ば、原則1回の裁判で直ちに判決が出る少額訴訟制度があります。
               
                            
            また、30万円超の場合は通常訴訟となりますが、案件によっては弁護士に依頼しなく
           ても、1人で十分出来るものもあります。
            とにかく、自分のほうが正しい、裏付けとなる資料もあると言う方は、行動を起こすべき
           だと思います。黙っていてもストレスがたまるだけ、そして、相手方を喜ばすだけですから。

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